旅のヒント
vol.94
もくじ
沖縄民謡、音楽に欠かせない三線。ザ・ビーチリゾート瀬底・ヒルトンクラブでも、沖縄民謡ユニット「いなぐんぐゎ」をお招きして、三線などの伝統楽器を使ったライブを不定期で開催しています。時には、三線の体験教室「出張 三線レッスン」をリクエストできることも。今回は、レッスンの先生でありライブにも登場している「いなぐんぐゎ」のMarieさんに、三線の魅力やライブ、レッスンについてお聞きします。
沖縄の音楽を優しく支える三線
600年以上の歴史を持つ沖縄の三線。伝統的な楽器ながら、沖縄民謡はもちろん、沖縄ポップスなど現代の音楽シーンでも活躍しています。
600年の歴史あり。三線の素朴な音色が心を打つ
三線は、沖縄の音楽や民謡を語るうえで外すことのできない伝統的な楽器です。
14~15世紀頃の琉球王国の時代に、三線の原型となる三絃(三弦/サンスェン)が中国から持ち込まれ、16世紀後半に日本へと渡り三味線へと形を変えたと伝えられています。
名前から想像する通り、三線とは3本の弦で音を奏でる弦楽器です。太さの異なる3本の弦からはじき出される音は、素朴で温かい音色。アップテンポで明るい曲調にも、ゆったりとした曲調にも合うことから、民謡以外のいわゆる歌謡曲、ポップスなどにも使われています。有名なところでは『島人ぬ宝』(BEGIN)や『涙そうそう』(夏川りみ、森山良子など)、軽快なテンポで盛り上がる『オジー自慢のオリオンビール』(BEGIN)などです。
なお、三味線とは、大きさや形、胴体部分の皮などの材質、構造のほか、弾き方が異なります。形や材質を例にとると、三線は全長約80cmと、三味線の全長約100cmより少し小さめ。表面に使用する皮は蛇皮です。重さも三線のほうが軽いため、立って演奏しやすい特徴があります。
琉球音階が心地よい、沖縄民謡
三線の演奏で唄われる音楽は、大きくは古典音楽と沖縄民謡に分かれます。厳密には、八重山民謡と沖縄民謡は異なるのですが、ここでは大きく沖縄民謡として説明します。
古典音楽は、弾き方、唄い方すべてが決まっている伝統的な演奏です。一方、沖縄民謡は唄者(うたしゃ/民謡を唄う人)によって多少のアレンジが可能です。古くから伝わる唄も、演奏者によって演奏や唄い方が異なるため、同じ唄を色々な唄者で楽しむことができます。
なお、沖縄音楽の大きな特徴のひとつに、独特の音階があります。沖縄音楽の音階は、「ドレミファソラシド」ではなく、琉球音階と呼ばれる「ドミファソシド」という独特な音階です。そのほか、八重山諸島に伝わる古い唄には、律音階(りつおんかい)と呼ばれる「ドレミソラド」という音階もあります。八重山民謡と沖縄民謡が厳密には区別されているゆえんです。
その土地の情景や歴史を沖縄民謡で楽しむ
琉球音階そのものが心地よく、聞いているだけでも楽しい沖縄民謡。いなぐんぐゎのMarieさんによると、別の楽しみ方があるそうです。
一般的に民謡は郷土色が強く、その土地、その地域のものを唄いますが、沖縄民謡も同様に町ごと、村ごとの民謡があります。
例えば、ザ・ビーチリゾート瀬底・ヒルトンクラブのある本部町にも『石くびり』という地元の民謡があります。
これは一説によると、同じ集落の人と結婚することが多く、別の集落の人と恋をしてはいけないといった慣習が残っていた時代に、隣町の人と恋に落ちてしまった男女がひっそりと落ちあい、石ころ坂と呼ばれる坂を歩く恋の唄なのだそう。普段はつらい坂道も、恋人と歩いている今はもっと長いといいのにと切ない思いを唄っているのだとか。
場所は、本部町の伊野波地域。実在する石くびり(石ころ坂)には歌碑が置かれています。
このように、沖縄県内に古くから伝わる民謡は、その歌が誕生した場所やいわれのある場所に歌碑が設置されていることが多くあります。民謡は沖縄の方言で唄われるため歌詞を理解するのが難しい面がありますが、気に入った民謡の歌詞の意味を調べ、縁のある場所に行ってみるのも楽しいでしょう。その土地の情景を唄った民謡であれば、当時の雰囲気を垣間見ることができるかもしれません。
本部町には『石くびり』のほか、『本部ミャークニー』といった民謡もあります。『本部ミャークニー』は、ザ・ビーチリゾート瀬底・ヒルトンクラブで、不定期でライブ演奏を行う沖縄民謡ユニット・いなぐんぐゎのアルバムにも収録中。リゾートのお部屋で色々な沖縄民謡を聞いてみるのもよいでしょう。
本部町出身の沖縄民謡ユニット「いなぐんぐゎ」Marieさんにインタビュー
本部町生まれの沖縄民謡ユニット「いなぐんぐゎ」。2016年に当時女子高生だった3人が結成したグループで、現在はメンバーの交代、追加を経てMarie(まりえ)、Aimi(あいみ)、Yu(ゆう)、Aya(あーやー)の4名で活動中。
ザ・ビーチリゾート瀬底・ヒルトンクラブにて、不定期で開催される沖縄音楽ライブに登場する人気のグループです。
お話してくれた方:Marieさん
-沖縄民謡は、若い方やお子様にも親しまれているのでしょうか
Marieさん:
そうですね。年配の演者も多くいますが、沖縄では比較的若い方やお子様も民謡に親しんでいて、とても身近です。おじい、おばあの存在や、沖縄ポップスでも三線を使った曲が数多くあるのも理由でしょう。また、コロナ禍に自宅でできる趣味にと、身近な三線を始めた方も多かったようです。
30~40代くらいの民謡から少し離れていた世代ではあるものの、この10年ほどは10代や20代で三線や沖縄民謡を習う人が増えているんですよ。
-若手4人のいなぐんぐゎですが、どんなユニットでしょうか
Marieさん:
いなぐんぐゎの特徴と言えば、やはり本部町出身のグループという点です。
民謡は、近年新しく生まれた唄もありますが、多くがその土地に古くから伝わるもの。その土地の情景が唄われ、歴史や文化が背景にあります。私達が唄う沖縄民謡、本部民謡は、私達が小さいころにおばあが唄っていた唄です。もちろん、古典音楽や沖縄民謡の先生に師事して民謡や三線を習ってきましたが、素地の部分にはおばあの唄が根付いていて、その唄の解釈の大きな部分を占めています。
そんな本部町生まれ、本部町育ちの私達だから唄えるものがあると思いますし、そこを唄っていきたいと活動しています。
-いなぐんぐゎさんはザ・ビーチリゾート瀬底・ヒルトンクラブの沖縄民謡ライブに出演してくださっていますね
Marieさん:
ザ・ビーチリゾート瀬底・ヒルトンクラブのロビーにて、宿泊者の方に向けて不定期の沖縄音楽ライブを開催しています※。約1時間のライブは、皆さんが聞いたことのある曲や手拍子だけでも楽しめる曲からスタート。有名な沖縄民謡やポップスなどのほか、中盤以降は私達のオリジナル曲で『やんばるちむどんどん』という曲を入れることもあり、その曲にある簡単な振り付けを一緒にやっていただいたり、「イーヤーサーサー」の掛け声をかけてもらったりするんですよ。とても盛り上がります。最後はもちろん、カチャーシー。頭の上にあげた手をひらひらとさせる、沖縄の踊りですね。大体7~8曲を披露しています。
ロビー横のMRK’T「CHIM DON DON」でお飲み物を買われて見ていただく方もいて、まるで皆でワイワイと楽しむ沖縄の会合「毛遊び(もうあしび)」のような雰囲気です。何より、私達が一番楽しんでいますので、ぜひ、一度聞きに来ていただきたいです。
※ライブは、ザ・ビーチリゾート瀬底・ヒルトンクラブ宿泊者限定ライブです。
-宿泊者向けの「出張 三線レッスン」がありますが、どのようなものになりますか?
Marieさん:
お客様のご希望と私たちのタイミング次第ではありますが、1回50分ほどで、三線の弾き方から丁寧に教えています。最初は『きらきら星』などの簡単な曲からスタート。マスターしたあとは、リクエストいただいて何をするか決めています。
三線はこちらから持参しますので手ぶらで大丈夫ですが、自分の三線をお持ちになっている方もいらっしゃるのですよ。弾いたことがないのに思わず買ってしまったから練習したいとか。三線は弾かないと劣化するので、ぜひ、ご自宅でも弾いてほしいですね。
実際に弾いてみて「できない! もう無理!」とおっしゃる方もいます。そんな場合でも、私が演奏して唄っていただいたり、「イーヤーサーサー」などの掛け声をかけてもらったりして、一緒に楽しめる工夫を凝らしますので、お気軽に試してみてください。人前では恥ずかしいという方も、プライベートレッスンですので思う存分、声を出していただけます。
ザ・ビーチリゾート瀬底・ヒルトンクラブでさまざまな体験を
ザ・ビーチリゾート瀬底・ヒルトンクラブでは、宿泊のお客様向けに週替わりでさまざまなイベントをご用意。毎週土曜の花火のほか、朝夕のビーチヨガやライブ演奏など、気軽に楽しめます。
ライブの後はスマホで沖縄民謡を検索してみても良いでしょう。滞在中は広いお部屋でのんびりしながら、三線の音を楽しむのもおすすめです。
今回はザ・ビーチリゾート瀬底・ヒルトンクラブでライブ演奏をしているいなぐんぐゎのMarieさんに三線で奏でる沖縄民謡の魅力を伺いました。Marieさん曰く「三線は知れば知るほどおもしろくなる、奥の深い楽器」とのこと。生の演奏では、沖縄気分をさらに満喫できるかもしれません。次回の沖縄旅行では沖縄の音楽を楽しんでみてはいかがでしょう。
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